「世界の王族はすべて『1つの天皇家』である」/ムー民のためのブック

文=星野太朗

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    世界の王族はすべて「1つの天皇家」である

    落合莞爾/嘉納道致/坂の上零 著

    天皇家の起源はシュメール前のメソポタミアにある

     歴史研究家・落合莞爾氏の代表作である「落合秘史」シリーズは、その難解さもさることながら、現時点で全8巻、姉妹編の「落合・吉薗秘史」シリーズが14巻と、あまりにも膨大であり、しかもそれぞれの巻が有機的に関係し合っているから、1冊2冊を読んだだけで理解しきることは不可能という難物であった。
     これに対して本書は、3人の鼎談という形式なので、シリーズに比べれば遙かに読みやすい。落合氏の他、マルチタレント、ジャーナリスト、作家など、幅広く活躍する坂の上零氏、および医学博士で、先般本欄でご紹介した『天皇と原爆 ヒトラーとユダヤ』の著者である嘉納道致氏。

     本書によれば、天皇家の起源はシュメール以前にメソポタミアにいたウバイド人にある。彼らは金を採掘しながら各地を移動し、日本に辿り着いた。後に彼らは、ヨーロッパ各地の王族のルーツともなってゆく。従って標題にもあるように、世界の王族はすべて「1つの天皇家」にほかならないのだ。
     落合氏はすでにご高齢で、この鼎談も直近に大きな手術を控えた、大変な状況で行われた。そのため坂の上氏は、あらかじめ綿密な計画を立て、入念な構成を考え抜いた上で、鼎談に挑んだ。その結果、本書は落合氏のこれまでの研究課題「をまとめた集大成」、「後世に残していくべき内容がここに極まる、まさに総結集といえる書籍」に仕上がっている。これは、熱い。

    ヒカルランド3300円(税込)

    (月刊ムー 2025年4月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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