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古来の祈願風習「絵馬」「千社札」の中には、妖怪や鬼といった異形のものを描いたものも……。三次もののけミュージアムで展示中!
妖怪(ようかい、もののけ)ー。古より人間の理解を超える奇怪な現象や、科学で説明できない不可思議な力を持つ存在の一部が、そう呼ばれ、親しまれてきた。そんな妖怪にまつわる情報に深く触れられる美術館が、広島県三次市三次町にあるのをご存知だろうか?
日本屈指の妖怪コレクターである民俗学・妖怪研究者の湯本豪一(ゆもとこういち)氏が、自身の約5,000点という膨大なコレクションを寄贈した「湯本豪一記念日本妖怪博物館 三次もののけミュージアム」である。三次町は江戸時代の妖怪物語「稲生物怪録」の舞台でもあり、妖怪にゆかりのある地だ。
同館は、湯本氏のコレクションによる日本の妖怪情報や「稲生物怪録」にまつわる常設展示を行っているが、期間限定の各種企画展も興味を引くものが多い。現在は新春企画展として、「妖怪の絵馬と千社札」を、2024年3月5日(火)まで開催中。同館の所蔵コレクションより、江戸時代から現代までの妖怪を描いた「絵馬」や「千社札」と、その関連資料を展示している。
なお、展示物は基本的に全て同館の所蔵物だが、企画展ラストスパートに向けて、2月1日(木)から一部、展示内容が変わるという。
ちなみに絵馬の起源は、奈良時代と言われる。古来、馬は神の乗り物と考えられ、祈願の際に生馬や土や木製の馬形が献上されたが、奈良時代に板に馬を描いた「板絵馬」が作られたことに由来するという。やがて、人々が寺社に絵馬を奉納する風習が広がり、絵馬の形状や画題が大きく変化し、江戸時代には酒呑童子や鵺などの妖怪を描いた「大絵馬」も作られるようになった。
そして近世の初め、小型で吊りかけ形式の手軽な「小絵馬」が庶民の間に広がる。小絵馬はいつでも簡易に奉納することができ、生活により身近なものとなった。祈願の内容や神仏の霊験の種類によって描かれる図柄もバラエティーに富み、その中に妖怪たちの姿もしっかり見られる。
一方、千社札が広まったのは室町時代。庶民の中で、霊場巡礼と共に納札が行われるようになる。江戸時代中期、題名納札(姓名を書いた札を貼る行為)を、江戸で流行していた千社参りの際に行ったことから、その札を「千社札」と呼ぶようになったそうだ。
仲間同士で千社札の交換会が開かれるようにもなり、色彩とデザイン豊かな千社札が数多く作られると、画題に妖怪を用いたものも登場した。現代では、手軽な名入りの「千社札型シール」が作られ親しまれている。自分で買ったことはなくても、このシールが神社に貼られているのを見かけたことがある人は多いだろう。
江戸時代から現代に至るまで、人々が絵馬に込めた願い、そして千社札を集める楽しみに触れてみてはいかがだろう。そこに描かれた妖怪たちの姿は非常に表情豊かだ。
開催情報
新春企画展[妖怪の絵馬と千社札」
会場:湯本豪一記念日本妖怪博物館 三次もののけミュージアム
広島県三次市三次町1691番地4
期間:令和5年12月14日(木)~令和6年3月5日(火)
※2月1日(木)から一部、展示内容が変わります。
https://miyoshi-mononoke.jp/
https://miyoshi-mononoke.jp/exhibition/
お問い合わせ:湯本豪一記念日本妖怪博物館(三次もののけミュージアム)
TEL 0824-69-0111
三次地区文化・観光まちづくり交流館
TEL 0824-53-1870
杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
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