「NASA は“何か”を隠してる」など新刊書籍7選/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    NASA は“何か”を隠してる

    船瀬俊介 著

    航空宇宙情報収集の総本山であるNASAこそが、情報隠蔽の本家本元だった!

     昨年5月、米議会下院で50年ぶりに「UFOに関する公聴会」が開催された。UFOを巡っては、すでに米国防総省に特別チームが発足しており、公聴会では、国防総省の高官が「米兵たちが未確認の航空現象に遭遇していることを把握して」いるという驚くべき事実を認めた。
     ことほどさように、UFOに関しては情報公開の流れが加速しているようだが、著者によれば実際にはまったくそうではない。
     それどころか、航空宇宙に関する情報収集の総本山であるNASA自体が、情報隠蔽の本家本元でもあるというのだ。
     そう断言する著者の船瀬俊介氏は「消費・環境問題を中心に」活動する「地球文明批評家」。『EVガラパゴス』や『世界をだました5人の学者』などの著書で知られる。あのベンジャミン・フルフォード氏の「畏友」でもある。
     そんな著者の論法は、ブログやYouTubeを含む幅広いソースから膨大な証言を拾い集め、これらを繋ぎ合わせて自らの論拠とし、一見、荒唐無稽とも思える意外な事実を暴露していくというもの。
     記述には改行が多用され、やたらと挑発的な文体が採用されている。これはこれで、小気味よいと感じる人もいるだろう。
     本書で暴露される驚きの情報を幾つか挙げると、まず、月は異星人が地球の監視のために建造した超巨大宇宙船であり、その内部には広大な空洞が広がっている。
     火星はかつては緑なす豊かな惑星であり、超古代文明が栄えていた。 木星の大きさに匹敵する超巨大UFOが太陽に接近、そのエネルギーを吸収している。
     世界を裏で牛耳る闇の勢力(①イルミナティ、②フリーメーソン、③ディープ・ステートの三層構造)は異星人の超技術を保有しており、NASAもまたその勢力の一翼である。彼らの目的は、全人類を家畜化して
    完全支配することにある。
     このように並べてみると、一般人にとっては驚天動地の極秘情報ばかりであるが、本誌の熱心な読者にとってはさほど目新しいトピックでもないかもしれない。とはいえ、この系統の情報をまとめて一覧できるレファランス・ブックの存在は、正直、実にありがたいといえる。

    ビジネス社/1760円(税込)

    文豪と怪奇

    東雅夫 著

    文豪たちが見た"この世の秘密"とは?

     著者・東雅夫氏によれば、本書は「古今の文豪たちと、かれらが遭遇した、超自然的な怪奇の世界との具体的な関わりを、ひたひたと、惻々と、追求した特異な書物である」。
     著者はこの「文豪」という言葉に、単なる文章の達人以上の、新たな次元を付け加える。曰く文豪とは「自らを取り巻く世界の不思議さと真っ向から向き合い、かれらが垣間見たこの世の秘密を、真相を、文筆という行為を通じて作品化し、われわれ読者の目にも明らかにしようと努めた人たち」なのだ。
     本書を味読するならば、文豪たちは、単に国語の教科書の題材に過ぎぬ無味乾燥な文学者などではなく、怪奇と神秘に対する執念と狂気に満ち満ちたオカルティストたちに他ならないと、まざまざと実感できる。 
     採り上げられる文豪たちは、泉鏡花から芥川龍之介、夏目漱石、小泉八雲、そして澁澤龍彦まで、総勢10名。各人の怪奇との関わりについての評論と選りすぐりの原文、さらに評伝と読書案内という、隙のない贅沢な構成で、多角的に文豪たちの怪奇な世界に浸ることができる。
     そして何より特筆すべきは、文豪を語る、著者の典雅で滋味あふれる文体である。先に引用した部分からもうかがえようが、もはや文豪たちへの愛の深さゆえに、著者自身が文豪そのものとなっている。文科省は、今すぐ本書を、高校の現代文の副読本として採用すべき。まさしく真の名著である。

    KADOKAWA/2090円(税込)

    【集大成完全版】日本人とユダヤ人

    永見憲吾 著/久保有政 監修

    神道や日本の風習とイスラエルの類似点を逐一列挙

     本書は、筋金入りのキリスト者がキリスト教をベースに、あくまでもキリスト者の立場から、日本人とユダヤ人の繋がりを探究した一冊。いわば「キリスト者による、キリスト者のための日ユ同祖論」である。
     著者の永見憲吾氏は、聖職者を父に持つ宗教文学博士で、総合教育・福祉事業体IGLグループの理事長。20歳のころに受洗したという。監修者の久保有政氏は聖書解説者で、聖書学習誌「月刊レムナント」の主宰者。また、本書の冒頭で推薦文を寄せている3名の方々も、いずれもキリスト教の牧師である。
     そんな本書によれば、「古代日本に渡来して天皇と神道を中心に国造りをしたヤマト民族は、おもに古代イスラエルの離散民」であり、「日本の中枢文化である天皇や神道などは、古代イスラエル人の渡来によってもたらされた」という。
     つまり日本人には、原住民である縄文系、中国からの渡来人である弥生系、そして「ヤマト民族」という3つの系統が混在しており、日本文化を形成したのはイスラエルから来
    た「ヤマト民族」であるというのだ。
     本書ではこの前提に基づき、膨大な紙数を費やして、神道や日本の風習とイスラエルの類似点を、逐一列挙していく。そのボリューム、そして細部への徹底したこだわりは、さすが「集大成完全版」をうたうだけのことはある。
     優に、並みの日ユ同祖論本3冊分に匹敵するという印象だ。

    ヒカルランド/2200円(税込)

    予言された世界

    落合信彦/落合陽一 著

    今の日本人に必要な情報が盛り込まれている一冊

     本書の著者のひとりである落合信彦氏は、国際政治ジャーナリスト。多数の著書で知られており、その総発行部数は2000万部を超えるという。さらに、傘寿を迎えた現在も、こうして新作を執筆する健勝ぶりである。 もうひとりの著者・落合陽一氏は信彦氏のご子息であり、学際情報学博士にしてメディアクリエーター。TVのコメンテーターとしても同じ身である。
     このように、一般社会では超有名人であるおふたりであるが、本欄にご登場いただくのは、かなり異例であるといえよう。
     本書は、そんな傑出した親子による初の共著。デジタル社会における情報との付き合い方に始まり、世界を渾沌に陥れるプーティンと習近平の野望と狂気、「ジャングル化する世界」をどう生き抜くかなど、まさに今の日本人に必要な情報が、これでもかと盛り込まれている。「平和ボケ」といわれる現在の日本が、いかに危険な状態にあるかを、まざまざと思い起こさせる一冊である。
     特に、中国某高官が信彦氏に告げた「中国が日本を支配下におくことは簡単なのです。武器などはいりません。3億人の農民を日本に送り込めば戦わずとも日本を征服できます」という恫喝には心底、慄然とさせられた。中国人畏るべし。
     現在、および今後の世界情勢を正しく見通し、困難な時代を生き延びるためのこの上なき指針、基礎教養として、熟読していただきたい。

    小学館/1650円(税込)

    謎解き「都市伝説

    ASIOS/廣田龍平 著

    「都市伝説リテラシー」を習得できる一冊

     某TV番組の影響もあり、このところ「都市伝説」がブームになっているらしい。おそらく本誌「ムー」読者も大好物であろうと拝察するが、その手のものはいろいろとわかった上で楽しむのはよいのだが、下手をすれば「ドツボにはまる危険もはらんで」いる。ゆえに何でもかんでも頭から信じ込むのではなく、「時には事実確認も必要」となる。
     そこで本書である。本書はさまざまな都市伝説を俎上に載せ、丹念な検証作業によって、伝説の真相を解き明かしていく啓蒙書。
     採り上げられる題材は、本誌でもお馴染みの「ポールシフト」や「超古代文明」「予言」「レイライン」「世界を支配する秘密結社」といった硬派なものから、「くねくね」や「コトリバコ」「カシマさん」などのネット怪談、そして「口裂け女」や「トイレの花子さん」などの、昔ながらの都市伝説まで多岐にわたる。快刀乱麻を断つがごとく、伝説の真相が抉り出されていくのは、まさに痛快のひと言。
     著者としてクレジットされているASIOSは「超常現象の懐疑的調査のための会」の略称。また廣田龍平氏は、文化人類学・民俗学の立場から妖怪研究に「存在論的転回」を仕掛ける、少壮気鋭の学者である。
     本書を精読し、楽しみながら「都市伝説リテラシー」を習得すれば、本誌の記事が何倍も面白くなることは請け合いである。本誌の最良の副読本として、広くご推奨したい。

    彩図社/1760円(税込)

    西洋占星術 完全バイブル

    キャロル・テイラー 著  鏡リュウジ 監修

    最先端の占星術を学べる、フルカラーマニュアル

     科学万能のこのご時世だが、依然として占星術は巷こう間かんに広く流布している。むしろ現代の占星術は科学と共存・補完し、合理主義とは別の形で、人間の本質に関する洞察を得られるものとなりつつある。
     そんな現代の、最先端の占星術を楽しく学べるマニュアルが、新たに登場した。何しろ監修者の鏡リュウジ氏をして「今、占星術を学ぼうとする人に僕は嫉妬する」といわしめるほどのしっかりした指南書である。
     本書の内容のすべてを完璧に習得すれば、プロレベルでも十分に通用するだろうが、そこまででなくとも、自分や親しい人々のホロスコープを、本書を参考に深く読み込んでいくだけでも十分。必ずや内省を深め、人生の転機をつかむ一助となろう。
     全頁フルカラーで、愛らしくも美しいイラストが、ふんだんに用いられているので、一見とっつきやすそうな印象であるが、内容自体は極めて高度だ。
    「前書き」と第1章では、占星術の歴史や思想的バックボーンも、抜け目なく紹介されている。ここでは、科学とオカルティズムの世界観の根幹にもさりげなく触れられているので、入念に玩味がんみしていただきたい。
     また、ホロスコープの読み方は詳細に説かれるものの、その実際の作成法はまったく説明されない。ネイタルもトランジットも、その作成には、占星術ソフトウェアやウェブサイトを利用するように指導されているのだ。実に今風である。

    グラフィック社/3960円(税込)

    エノクの預言 ―予告された未来の光景―

    高島康司 著

    エノクの預言とは、プレヤーレンからのメッセージ

    「エノクの預言」とは何か。エノクと聞けば、旧約偽典やジョン・ディーを思い浮かべる人もいるかもしれないが、ここでいう「エノクの預言」はそれらとはまったく無関係。1987年に、UFOコンタクティのビリー・マイヤーがプレヤーレンと呼ばれる地球外知的生命体から与えられた、メッセージのことを指している。
     などというと、いかにもな眉唾物のようだが、著者・高島康司氏によれば「一部の人々が垣間見る未来の光景は、実は事前に深層意識で共有されていたイメージである」とのこと。となれば俄然、その信憑性は増す。
     さて本書であるが、実は序章があまりにもブッ飛んだ内容であるため、これまで高島氏の著作を追ってきた評者は心底仰天し、いったい氏に何があったのかと心配したほどであった。だがそれは杞憂で、1章以後では、いつもの高島氏の透徹した世界情勢の分析と予測に戻っているので、どうかご安心いただきたい。
     その「エノクの預言」によれば、近未来においてロシアは、ヨーロッパに侵攻することになる。一方、アメリカは、内戦を経て分裂。ヨーロッパは右傾化して、ネオナチが台頭。世界の覇権は、中国が握ることになるという。
     何とも暗澹たる未来予測だが、著者によれば、今回のウクライナ戦争はこの預言の実現に向けての序章だというのだ。だが著者は、このシナリオを回避する方策も記しているので、ぜひご一読いただきたい。

    ナチュラル・スピリット/1870円(税込)

    (月刊ムー2023年3月号より)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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