〈反響〉上賀茂神社「神馬総覧」神事について思うこと

◆しんめ

「ムー」2026年2月号の「午年の勝ち馬に乗れ! 午年初詣神社参詣案内」は興味深い内容だった。

 上賀茂神社では、年の初めに美しい白馬(神馬)を見て1年の邪気を祓うという行事があるという。
 この行事はかつて宮中で1月7日に行われていた「白馬節会」(1年の無病息災を祈念するため、正装した白馬を天皇にご覧いただくもの)が元になっているらしい。

 ただ、この宮中行事は明治時代に廃絶、上賀茂神社が受け継ぎ、毎年1月7日に「白馬奏覧神事」として行っているようだ。

 つまり、この神事は天皇に代わって上賀茂神社の御祭神・賀茂別雷大神に美しい白馬をご覧に入れるのが目的だとされる。

 では、なぜ神馬総覧の神事がこの上賀茂神社に受け継がれたのか。そこには深い理由があるようだ。それは以下の内容だ。

・上賀茂神社は京都最古の歴史を有する神社のひとつで、平安京鎮護の神社として天皇家の崇敬を受けていたこと。

・上賀茂神社の始まりを伝える賀茂別雷大神の神話に、神山(上賀茂神社の北北西2キロに聳える標高301・5メートルの山)と神馬の由緒が語られていること。

 御祭神・賀茂別雷大神は神山に降臨される際、こう告げたといわれる。

「吾に会いたければ、天上の神のための神聖な衣を織り、火を焚き、鉾を捧げ、さらに走り馬を飾って奥深い山から賢木(榊)を採り、阿礼(祭祀の場、または降臨地)に立て(よ)……」

 この「走り馬を飾って」の言葉からは、神の乗り物である神馬を飾り立て、走らせることが、神の威厳やその勢い、または神をもてなし、御魂を奮い立たせるものであることが推察できる。

 このように、御祭神・賀茂別雷大神は神山に降臨するにあたり、飾り立てた走る馬を準備するように告げている。そんな由緒があるため、この上賀茂神社に神馬総覧の神事が受け継がれたようだ。

 ここから、神馬が神にとって、いかに重要な存在だったかがわかる。そして、古代の天皇にとっても神馬は重要な神事の担い手となる特別な存在だったのであろう。

 実際、神馬は神の使いとして、神にもっとも近い存在だとされる。現在でも、神馬はその象徴として大切にされ、重要な役目を果たしている。改めていえば、上賀茂神社では、天皇に代わって御祭神が神馬をご覧になるため、その神馬が神前で拝礼をする。

 また、伊勢神宮では菊の紋章のついた馬衣をまとった神馬が、天皇に代わって神前で拝礼するのが役目だとされる。

 このように、神馬の役目は少し違うが、天皇に代わって神前で神職とともに頭を下げて一礼するのは同じである。

 いずれにしても、重要な役目を担うこの神馬は、自らの立場を理解して頭を下げるのか。それとも訓練の賜物なのか。さらには、御祭神との以心伝心によるものなのか。

(本投稿は月刊『ムー』2025年9月号より転載したものです)

※ あなたのミステリー体験、ご当地の不思議情報などはこちらからお送りください。