〈体験談〉散歩の途中で見たことのない場所を彷徨う……近所なのに異世界へ
◆れい子
2024年6月ごろのことです。散歩をしようと、3時くらいに家を出たと思います。
自宅までもうすぐのところで、アレッ? と思ったのが始まりでしたーーこんな所にこんな家、あったかな?
それは黒い外観のおしゃれな、今風の家です。玄関前はコンクリートを打ってあるのをよく憶えています。表札を見ると、黒の縦長に白い文字で苗字が書いてありました。
おかしいなぁとしばらく立ち止まって眺めていました。そして隣の家はというと、生活感のない空き家のようで、和風の平家で庭には草が生えていました。
「この家も見たことないなぁ」
と、ここでもしばらく眺めていました。何か変だなと思いながらも歩きだすと、今まで帰っていた道がない……というか、違うのです。何が起きているのだろうと思いながらも、家までは近いし、道なりに歩きました。
なぜかその時は足下だけを見て、わけもわからず、周りを観察する余裕がなかったのかもしれません。
体感的には15分は歩いたでしょうか。どこまで来たんだろうと顔を上げてみると、知っている建物はまったくないのです。
ここは田舎です。住人なら、そんなことはあり得ません。
広いまっすぐな道路脇に家はずっとあるのですが、車は1台も走っていません。人もいません。もうパニックです。
空はというと、夕焼けがくすんだ色というか、セピア色というのか(その日はどんより曇り空でした)。アスファルトの色も何だか違う。
この辺りで大きな建物といえば、中学校とプールくらいです。
とりあえずプールはどこだろうと思いながら歩きだすと、それが見える場所に出られました。
後に、長年近所に住んでいる方に、私が見た、表札の苗字の家はどこにあるか聞いたところ、その苗字の家は1軒だけで、神社の方だと教えてくれました。
確かにあの日、神社の横の道を帰っていったなと思い、行ってみたのですが、実際にその家は通りから見えない位置にあり、苗字は同じでも、表札の字体もまったく違っていました。隣に空き家もありませんでした。
私はいったいどこを歩いていたのだろう。スマホを持たず出なかったことも悔やまれます。帰れなかったらどうなっていたのだろう。この体験が頭から離れません。
(本投稿は月刊『ムー』2025年6月号より転載したものです)
〈編集部より〉
きさらぎ駅を思わせる、異世界迷い込み体験ですね。ご無事で何よりです!
※ あなたのミステリー体験、ご当地の不思議情報などはこちらからお送りください。

