UMAテギーが原因で大渋滞が起きた話など/南山宏のちょっと不思議な話

文=南山宏 絵=下谷二助

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    「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2026年4月号、第504回目の内容です。

    怪獣駐車騒動

     イギリスの湖沼怪獣〝テギー〟は、ウェールズ地方のリンテギッド湖に棲息するという同国ではネッシーに次いで有名な怪獣だが、近年そのテギーをひと目でも見たいと押し寄せる観光客の増大が、いささか問題になっている。
     湖畔周辺の路上に勝手に臨時駐車する観光客たちの車両があまりに増えすぎて、いざ事件事故や火災の発生時に現場へ急行する警察や消防関係の緊急車両の通行が、著しく阻害されるというのだ!
     結果として地元のグウィネス行政区議会が、同湖沿岸部の片側だけに限ってテギーの目撃希望者たちの車両を全面駐車禁止にしたところ、今度はテギーファンたちから猛反発の声が上がり、区議会は一刻も早い新たなテギー観光対策の立案に迫られている。

    小便北極熊

     オランダはアメルスフォールトの住民たちは、近年同市のフレヒッテ博物館前に新設された〝小便小僧〟ならぬ〝小便北極熊〟の巨大な石像に猛反発した。
     当初は毎日24時間ぶっ通しで、3分おきに小便を近くの運河に垂れ流しつづけたため、近隣住民から「日中はともかく、夜中は垂れ流す水音がうるさすぎて眠れない」との苦情が殺到したのだ。
     当の北極熊像を創作した著名な彫刻家フロレンティン・ホフマン氏の説明によれば、
    「地球の温暖化で、北極熊の棲み家である北極冠が縮小しつつあるという事実を、運河に小便しつづける北極熊で表現したかった」
     でも苦情の殺到後、フレヒッテ博物館は夜間だけ、小便北極熊の水道スイッチを切ることにしたため、この問題は一件落着した。

    加重暴行犯

     会社員のシェイヴォン・カナレスさん(36歳)の車が、米テキサス州サンアントニオ市の近郊を走行中、前方からいきなり長さ約1メートル半の槍が飛んできて、フロントガラスをガシャンと突き破り、硬いハンドルに先端を食い込ませてようやく停止した。
    「まったくの不意打ちだったわ。ちょうど時速40から45マイル(64から72キロ)出しかけていたところで、突然、顔から数インチ(6、7センチ)離れたガラスがガシャンと割れたので、わたしは思わずはっと首を縮めたわ。恐る恐る顔を上げたら、目の前のハンドルに槍が突き刺さってたのよ!」
     通報ですぐさま駆けつけた地元警察の話では、槍の弾道がほんの十数センチでも運転席寄りだったら、カナレスさんは無事では済まなかっただろうという。
     だれがどこから何の目的で槍を投げたのか、警察はこの凶器を不法使用した犯人を〝加重暴行罪〟に問うため、現在必死に捜索中だ。
     ちなみに加重暴行とは、単なる暴行より悪質な身体的攻撃を意味し、より重罪として処罰される。

    ニャンニャン大作戦

     ロシアはニジニタギル市の警察が、密告通報に基づいて首尾よく麻薬の女密売人を逮捕した。
     逮捕された時、女は一見赤ちゃんを抱いているように見えたが、ベビー用防寒着のジッパーを下ろしてみると、中には驚いたような表情の灰色猫が入っていた。
     猫はオムツをつけ、ベビー用ワンピースパジャマを着て、靴を履き、ウール帽を被っていたが、警察はメチルエフェドリンや覚醒剤が入ったパッケージが数個、防寒着の足の部分に詰め込まれているのを目ざとく見つけだした。
     とどのつまり、麻薬密売人たちのニャンニャン大作戦は、見事なまでに大失敗してしまった。

    サンドイッチ男

     ドイツの連邦道路184号線沿いのケーニヒスボムとヘイロスベルゲ間に住む人々は、ほとんどの週日の早朝6時直前、通りがかりの車の窓からアルミホイルで包んだサンドイッチを投げつける正体不明の怪人に悩まされている。
     サンドイッチの具材はその時々でまちまちで、チーズだったりサラミだったりソーセージだったり――たいていは手つかずだが、たまにはひと口だけ齧ったサンドイッチの時もある。
     この怪人にサンドイッチを投げ込まれたのは、地元住民宅の庭先だけではない。地元のサッカー場内にも同じようにサンドイッチが投げ込まれたため、サッカー場のオーナーのホルガー・ベッカー氏はこうコメントした。
    「われわれもここでは何でもボランティア精神でやっているが、このサンドイッチ男の行為はまったく理解不能・意味不明で、ほんとに大迷惑だよ!」

    絶滅植物再発見

     古代ギリシャ・ローマ時代に完全に絶滅したとされ、現在では植物学の専門家でさえ知る人が少ない謎の植物がある。
     調味料や香水、媚薬、医薬品として重用されたが、ローマ時代にはもう絶滅し、図像でしか後世に伝わらなかったシルフィウムと呼ばれる神秘的な植物がそれだ。
     幹が太く、黄色い花を咲かせ、調味料や食材や医薬品として珍重され、金と同等の価値があるとまで持て囃されたものの、乱獲が祟って西暦1世紀ごろに絶滅。今では〝幻のハーブ〟扱いされている。
     ところがその絶滅植物シルフィウムが、このほどローマから遠く3000キロも離れたトルコのカッパドキアで、見事に自生している新事実が確認されたのだ!
     再発見したのは同国イスタンブール大学の医学者マームト・ミスキ氏。だが、シルフィウムは栽培の難しい植物でもあり、温室で最新技術を駆使して育てないとすぐ枯死してしまう欠点も判明した。何とも厄介な植物もあるものだ。

    リハーサル

     ポーランドの首都ワルシャワのとあるショッピングモールで、22歳の男が警備員の目を誤魔化し、マネキンの振りをして洋服店のウインドーに微動だにせずじっと立ちつづけた。そしていざ人の気配がなくなるや動きだし、宝石店に押し入って宝石類を洗いざらい盗みだすと、一目散に逃走した。
     でも、その一部始終は防犯カメラにばっちり写っていたので、高飛び寸前にあっさり逮捕された。

    南山宏

    作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。

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