<体験談>天井一面に108本の釘! 不気味な物件に出現した鬼の形相
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◆真木謙二 奈良県奈良市
1991年春、ひとり暮らしをすることになり、お金のない私は破格な物件を不動産屋さんに捜してもらいました。30歳のときのことです。
そこは2階に3室あるうちの真ん中の部屋で、トイレ付の二間。家賃はなんと1万円。事故物件だとしてもおかしくないでしょう。
入居したその日、居間の天井一面に無数の釘が打ちつけてあるのを見て、不動産屋さんに文句をいいました。釘は抜いてほしいと、下見のときに頼んでいたにもかかわらず放置されたままだったからです。
「敷金を安くするので」
と、その後、大家さんから申し出があり、釘はそのままという条件で、渋々、了承しました。
しかし、とくに寝る際、天井に目がいきます。気持ち悪さに耐えられず、自分で抜くことにしました。
抜いた釘の数は全部で108本。この数字がやけに気になります。
“何の意味があるのだろう。魔除けのつもりかな?”
そのアパートには1995年まで住んでいましたが、どういうわけかしょっちゅう金縛りに遭いました。
1995年1月17日、阪神・淡路大震災を機に、引っ越すことにしました。天井が今にも落ちてきそうな状態になってしまったからです。
転居先が決まり、9月にはここを出ていくことが決まりました。
お盆の休み明けで、翌日から仕事という日の深夜2時ごろのことです。
金縛りで体が動かなくなった直後、左腕を棒のようなもので突きさされるような痛みがありました。痛みは徐々に強くなり、悲鳴を上げる手前で金縛りが解けました。
目を開けると、全体が黒く、目だけが白く光っていて、頭の周辺にトゲのようなものが無数に突きでている大きな顔が宙に浮かんでいました。その目は私を凝視しています。手を伸ばせば届きそうな距離です。
閻魔大王のような形相をしていたのでギョッとしましたが、幽霊を見るような怖さとはやや違います。
顔は鬼の面のような立体感があり、ニューギニアかインドネシアのお面のような野性味を感じる雰囲気があります。岡本太郎の太陽の塔の背面に描かれている黒い太陽の目がイメージとしては近いかもしれません。
その顔は少しずつ天井に上がっていき、最終的には消失。その後、私は眠ってしまったようです。
起床後、
“すごいもの見たな。決して夢じゃない。何せ左腕はまだ痛いし”
などと思いながら左腕を見ると、大きくて黒いあざができていました。
数日後、居間で本を読んでいると、頭の左後方、耳の後ろあたりから、
「パラッ、パラッ」
と、新聞紙をめくるような音がします。しかし、振りかえっても何も変わったことはありません。
次の日曜日、図書館へ郷土史を調べに行ったところ、『茨木童子』にたどりつきました。平安時代の伝説に登場する鬼の妖怪です。
“いくらなんでも古すぎる。これは関係ないだろう”
しかし、ほかにそれらしい情報を見つけることはできませんでした。
30年たった今だから思うのですが、あの妖怪は私とコミュニケーションを取りたかったのかもしれません。じつはあの妖怪は茨木童子の現在の姿だったのではないか。そんなふうに考えています。

(本投稿は月刊『ムー』2026年03月号より転載したものです)
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