宇宙線は微生物のエネルギー源になると判明! 太陽系内に地球外生命体が存在する可能性がますます高まる
新たな研究によって、宇宙線が惑星の地下水を生命エネルギーの原料に分解できることが判明。他惑星に生命が存在する可能性が、かつてないほど高まっている!
記事を読む

地球“育ち”のわれわれだが、実は“生まれ”は別の場所であったのかもしれない――。地球生命の遠い祖先は、火星から隕石に乗って引っ越してきたという仮説が真剣に検討されている!
現在の火星は磁場が失われ、ごくわずかな二酸化炭素の大気しかない“死の惑星”だ。しかし、かつては厚い大気に覆われ、海・川・湖といった形で水が存在していたことがわかっており、生命の誕生に必要な条件となる豊富な熱水噴出孔や温泉など、地熱活動も活発だったことが示唆されている。
火星は約46億年前に形成されたが、地球はそれよりわずかに若く、45.4億年前に誕生した。当初はどちらの惑星も表面はドロドロの溶融状態であったが、徐々に冷えて固まり、現在の形状が形成された。宇宙的な時間軸で見ればほぼ同時期に誕生した火星と地球だが、どうして火星は先に“死の惑星”になってしまったのか。
サイズが地球よりも小さい火星はより冷えやすかったこともその原因の1つだが、火星が特に短命だったわけではなく、むしろ地球の方に“長寿イベント”があったことが両者の運命を分けた最大要因であると考えられている。

その長寿イベントとは約45億1000万年前、「テイア(Theia)」と呼ばれる岩石惑星が原始の地球に衝突した「ジャイアント・インパクト」だ。この衝突により、両方の天体は溶け合い、やがて地球と月に分離したと考えられている。もしもそれ以前に地球に生命が誕生していたら、生き残ることはできなかっただろう。
この大規模な惑星衝突によって地球は再び高温のドロドロした溶岩塊となり、内部からのガス放出が促進されたことが初期大気(二酸化炭素と水蒸気など)の安定化に繋がり、生命が存在できる環境が整ったと考えられている。
一方で火星は、初期においてかなりの小惑星や隕石の衝突を経験してきたが、それらのどれもが火星を根底から破壊するほどの破局的イベントではなかったことが示唆されている。そのため、誕生後しばらくは比較的安定した状態を保っていたとしてもおかしくはない。
したがって、46億年前の火星誕生直後に生命が誕生していたとすれば、少なくとも5億年間は大きな中断なく進化を続けられた可能性がある。しかしその後、火星は芯まで冷え切って磁場が崩壊し、多くの生物にとっての居住可能性が失われた。大気は消失し、火星の表面は氷点下の気温と宇宙からの電離放射線にさらされる“死の惑星”になったのた。
では、「ジャイアント・インパクト」後の地球で、生命はどの時期に出現したのだろうか。
地球上の生命のツリーを根源まで遡ると、ルカ(LUCA)と呼ばれる微生物にたどり着く。ルカは今日のすべての生命の祖先となった「最終普遍共通祖先(Last Universal Common Ancestor)」である。遺伝学と初期生命の化石記録を用いた最近の研究では、ルカの出現は「ジャイアント・インパクト」から2億9000万年後、42億年前だったと推定されている。
ルカは現在の地球上に生息するすべての生物の祖先ではあるが、最も古い生物ではなく、当時地球上で共存していた複数の微生物種の1つである。彼らは競争し、協力し、過酷な自然環境に耐え、ウイルスの攻撃から身を守っていた。
約42億年前の地球に、小規模ながらも複雑な生態系が存在していたということは、生命の誕生はもっと前ということになる。しかし、「ジャイアント・インパクト」から2億9000万年という時間が、生命の誕生から多様化に至るまでの十分な時間だったかどうかは判然としない。
そこで、「地球生命の火星起源説」が唱えられるに至った。この仮説によれば、当時の火星で生息していた微生物種が、「ジャイアント・インパクト」後に生じた地球の温暖な気候を利用するため、ちょうどよいタイミングで隕石に乗って地球へと飛来したというのだ。
とはいえ、もしもルカが火星から地球にやって来たとして、宇宙の旅に耐えられるのだろうか。
微生物が地球に到達するには、火星表面への小惑星衝突の衝撃、火星の大気圏からの高速脱出、そして少なくとも1年近く宇宙線を浴びながら真空中を移動するプロセスをクリアする必要がある。さらにその後、高温にさらされる地球大気圏突入と地表への再衝突を耐え忍ぶ必要もある。ルカはこれらいくつものハードルを乗り越えることができたのだろうか。
ルカのゲノムを復元してみると、ルカが分子状水素または単純な有機分子を食料源として生存できたことが示唆されている。さらにルカには、初期の地球環境において危険で過酷であった高温と紫外線から身を守る生化学的機構も備わっていた。しかし、これだけでルカが宇宙旅行に適していたと断じるのはまだ早計だ。
これまでのところ、火星と地球間の旅を生き延びることができるのは、極めて限られた種類の(最もタフな)微生物に限られると考えられている。JAXAの「たんぽぽ計画」などの実験により、デイノコッカス属菌などの微生物は宇宙空間の過酷な環境下でも、太陽光(紫外線)さえ遮蔽すれば少なくとも3年間は生存できるという。
つまり、ルカをはじめとする火星の微生物集団がじゅうぶんに大きな隕石の内部に閉じ込められていれば、宇宙の過酷な環境から保護され、地球までやってくることも不可能ではないと考えられるのだ。これを検証するための詳しいシミュレーションと実験が現在進行中であるということだ。われわれ自身が“火星人”だった――研究の進展によって、そんなショッキングな事実が判明する日が訪れるのだろうか?
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
関連記事
宇宙線は微生物のエネルギー源になると判明! 太陽系内に地球外生命体が存在する可能性がますます高まる
新たな研究によって、宇宙線が惑星の地下水を生命エネルギーの原料に分解できることが判明。他惑星に生命が存在する可能性が、かつてないほど高まっている!
記事を読む
ついに「宇宙意識」が科学の俎上に!? あらゆる超常現象を説明できる“意識の基本場”理論の提唱
われわれの意識の本質についての探究が進んでいる。ある物理学者によると、意識とは個々人に独立してあるものではなく、宇宙の構成要素の一つであり、普遍的意識という全体に繋がっているという――!
記事を読む
大阪万博の「火星の石」は「金星の石」だ! 電気的宇宙論から見た惑星の歴史
話題の「大阪・関西万博」で展示されている火星の石。南極で採取された隕石なのだが、実は火星ではなく金星に由来する……という異説がある。電気的宇宙論者が指摘する太陽系の歴史とは?
記事を読む
タルタリア都市伝説の根拠か? タクラマカン砂漠に栄えた古代都市が巨大隕石で滅亡していた!
20世紀初頭、タクラマカン砂漠で発見された都市遺跡は四大文明に匹敵する年代のものだった……。幻の古都はどこへ消えたのか?
記事を読む
おすすめ記事