<体験談>廃墟と化した炭鉱の町から親子と女性の霊に連続遭遇

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◆近藤誠一/北海道旭川市

 今から40年ほど前、私が高校生のときに父が体験した話です。
 父は北海道の旭川でトラックのドライバーをしていました。もともと豪胆な人で、幽霊などという存在はまったく信じない人でした。
 お盆を過ぎ、秋風が吹くようになったころ、取引先の建設会社の社長から仕事の依頼が入りました。
 内容は、昼前に荷物を積んで、十勝浦幌の廃炭鉱まで足場を組む鉄筋を運んでほしいというものです。

 当時、父の家業は好調で、今回、依頼された仕事の前に、もう1本、市内での仕事が入っていました。
 市内での仕事を終わらせ、建設会社の社長との約束を果たすため旭川を出たのは夜8時ごろ。十勝の浦幌炭鉱の跡地に到着したころにはすでに午前0時をまわっていました。

 炭鉱が閉山してからすでに20年が経過しています。ゴーストタウンと化したその場所には、虫の音だけが響いていたそうです。

 父の仕事には定評があり、特に荷物を積みあげる技術は抜群でした。
 作業を始める前に、父がタバコを吸おうとしたそのときでした。
 ふと運転席から前方に目を凝らすと、柳の木が植わっているところに、白い着物を着た髪の長い女性と浴衣姿の5~6歳の男の子が手を繋いで宙に浮いていたそうです。
 びっくりした父がサーチライトを当てると親子と思われるふたりの姿は消え、サーチライトを消すと再びふたりの姿が現れます。
 ふたりの顔は能面のように無表情で、ずっと父に視線を向けていたそうです。
 豪胆な父も、このときばかりはあわてふためいたといっていました。
 責任感の強い父は、荷台から資材を下ろしおえるやいなやトラックを急発進させたそうです。
「背中の悪寒がすごかった」
 のちに父はそう語っていました。

 帯広に入ったときには、街の明かりを見て、心底ほっとしたそうです。
 帯広をすぎ、新得の町をすぎて、狩勝峠に差しかかると小雨が降ってきました。街灯も少なく、人家もほとんどありません。
 峠の中腹まで来たときのこと、トラックの前方に人影を認めました。 父のトラックが近づくと、白いワンピース姿の若い女性が、濡れながら手を上げています。まるで乗せてほしいとでもいっているようでした。
 一瞬、迷ったものの、人家もない峠道で、しかも丑三つ時。あやかしに違いないと思いなおした父は、女性を無視して車を走らせました。

 富良野市街を抜けて美瑛あたりまで走ってきたときのことです。なんと狩勝峠で出会った女性が、道路脇で手をあげて立っていたそうです! !

 父が自宅に帰ってきたのは午前4時すぎでした。私は父に起こされて、トラックに塩を撒くようにいわれました。いわれるがまま、わけもわからず私はトラックに塩を撒きました。

「出たんだって!? あそこの現場は“出る”って有名なんだよ。だから昼に荷物を積んで出かけてくれとお願いしたのに」
 後日、建設会社の社長が父にいったセリフです。

 それにしても、廃炭鉱のゴーストタウンで父が出会った親子の霊と、狩勝峠や美瑛に現れた女性の霊は、いったい何者だったのでしょう。人恋しくて、廃炭鉱から父のあとをついてきてしまったのでしょうか。

(本投稿は月刊『ムー』2026年02月号より転載したものです)

<編集部より>
親子と女性で、それぞれ関連があるのか、その日の本人やトラックが「出会いやすい」状態だったのか? 豪胆なお父様に感服です。

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