◆渋谷飛鳥／神奈川県

　2024年9月、祖母の3回忌で法事に出かけたときのことです。その日は台風の影響で雨が降る時間もありましたが、おおむね曇り空が続く一日でした。
　法事が終わり、祖母の墓へ行き、線香をあげてお参りしていたときのことです。突然、にわか雨が降りだしました。
　ただの偶然かもしれません。しかし、私には墓参りにきてくれたことを喜び、祖母が涙を流したように思えたのです。
　生前、祖母の家によく遊びにいったものです。料理好きな祖母は、天ぷらやおにぎり、かんぴょう巻きなど、いつもたくさんのご馳走を食べさせてくれました。
　突然、降りだしたにわか雨が、祖母との思い出を甦らせてくれたように思えてなりません。
　いよいよ帰るころには日差しが出てきました。
「そろそろ帰るね」
　と、祖母に言葉をかけたところ、
「またおいで」
　と、いわれたような気がしました。

（本投稿は月刊『ムー』2025年7月号より転載したものです）

※ あなたのミステリー体験やご当地の不思議情報などはこちらからお送りください。