グルジエフ宇宙論の解説書「七つのコスモス」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    七つのコスモス

    松村潔 著

    宇宙は七つのコスモスで構成されている

     7という数字は、古来、神秘的な魔力を持つと考えられてきた。
     古代世界において、太陽と月を含めた惑星の数が七つだったことにも関連してか、不思議な事物を七つ集める七不思議というものが、洋の東西を問わず流行り、現在も、一週間を構成する日数は、七つに固定されている。
     ロシアの神秘思想家ゲオルグ・イワノビッチ・グルジエフもまた、この7という数字の神秘に気づいていたようで、宇宙全体が七つの層から成ると主張した。

     本書は、そのグルジエフ宇宙論の解説書である。
     この宇宙論によれば、宇宙は七つのコスモスで構成され、それぞれのコスモスは七つに分割され、さらにこの七つのうちのひとつも、七つに分かれる。
     七階層の一番上のコスモスのさらに上、そして一番下のコスモスの下には絶対が存在し、上と下とは最終的につながるのだ。
     なにやら神智学で主張する太陽系の七つの周期や、七つの根源人種を思わせる。
     それもそのはずであり、この七つの宇宙階層はグルジエフ独自のものではなく、彼が従う「道」の基本システムであり、他の神秘思想にも共通するものだという。

     グルジエフの宇宙論は、神智学に比べて、日本での知名度は低い。その意味で本書は、貴重な一冊といえるだろう。

    ナチュラルスピリット 1870円(税込)

    (月刊ムー 2025年7月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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