ヒバゴンは実在する! ご当地キャラにして捜索対象の大人気獣人UMAの現在地
55年前に広島の比婆山に出現したヒバゴンが今、改めて注目されている。愛すべきご当地キャラとして定着してきたところに、リアルな「遭遇」情報ももたらされて……!?
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昭和日本を震撼させた、広島県の獣人「ヒバゴン」。初目撃事例から55年の時を経て、令和のいま再びヒバゴンとの遭遇報告が増えているという。何が起こっているのか、目撃者とともに現地取材を敢行!
広島県庄原市西城町で、謎の黒い大猿の目撃情報が相次いで報告されている。
西城町は広島県北部の山に囲まれた自然豊かな地域で、林業などが盛んな町。この町の山深いところに住む男性A氏が、「黒い大猿」の第一目撃者である。
A氏は2024年8月23日、お昼過ぎに自宅の玄関から外に出ると、目の前にある畑に巨大な猿がしゃがんでいるのを発見した。A氏から23メートルくらいの距離だ。A氏は驚いてとっさに「おさるさん、おさるさん、何しよるん?」とその大猿に声をかけた。すると、その大猿は60センチほどの高さの電気柵を軽々と飛び越えて、畑の脇の道を使って山中へ逃げていったという。
A氏はすぐに後を追ったが、大猿はすばしっこく、見失ってしまった。
その時期の畑ではスイカ、ナス、トマト、熟していないブドウなどが栽培されていた、畑の電気柵のそばにはトマトがふたつ、かじられることなくそのまま残されていた。
A氏はこの大猿の特徴について、こう語った。
「立ち上がると175センチくらいあって、毛は長く、手足は細長い。全身真っ黒で、顔は赤くなかった。ニホンザルはよく見かけるが、それとは明らかに違うし、もちろん人間でもない」
A氏は、普段から一日の出来事を記録する習慣があり、簡単な日記にしているので日にちも正確に記録に残していた。この目撃以降、この現場では黒い大猿は再び現れていないが、普通のニホンザルが頻繁に出没するようになり、農作物への被害(獣害)が増加。そのため、さらに高い電気柵が新たに設置されるようになった。
当初、この話は身近な人だけに語られていたが、今年3月に住人が集まった際にふと話題となったそうだ。
この「黒い大猿」の出現は、「令和のヒバゴン」として新聞などでも取り上げられ話題になった。1970年から74年に比婆山に出現した獣人ヒバゴンが再び活動を始めたというのか?
今年、2025年はヒバゴンが初めて目撃されて55年目にあたる。ヒバゴンの目撃が途絶えて終息宣言が出されてからは50年目の記念すべき年だ。
現在、西城町では何が起きているのだろうか。
著者は現地に取材に向かった。
ヒバゴンとは、1970年から1974年にかけて広島県の北部に位置する比婆郡西城町(現在は庄原市) 油木地区を中心に目撃が相次いだ獣人UMAである。目撃証言から、ヒバゴンはゴリラのような見た目で体長は1.5~1.6メートル、逆三角形の大きな頭、茶もしくは黒色の毛で全身が覆われているという特徴が明らかになっている。
ヒバゴン出現は大騒ぎになり、役場ではヒバゴンについての相談やマスコミからの取材に対応するための部署「類人猿相談係」が設置されたほどだ。
代表的な目撃事件は1970年7月20日、人里離れた県民の森につながる六ノ原ダム付近の道沿いでのものだ。農業を営む男性が軽トラックで帰宅中、突然大きな子牛のような動物がダムのある川の方面から山の方へ軽トラックの前を横切り、傾斜30度以上ある急な林道を登り大田ヶ原山に駆け込んでいったという。
見た目の特徴は、全身が茶色の毛に覆われ、頭は剛毛で毛が逆立ち身長は人間の大人くらいの1.6メートル程度で頭部は人間の2倍くらいあり、逆三角形をしていたという。ゴリラのような生物だった。
この男性は3日後の23日にも自宅近くの畑で「ドスーン」という大きな音を聞き、その方向を見てみると、大人の背丈ほどの全身が黒い毛で覆われた巨大な猿のような生物が立っていた。男性は、恐怖で震えながら、自宅へ逃げ込んだという。
この目撃情報が新聞に掲載され話題になり、その後も次々と目撃情報が報道されていった。
同年7月30日には、西城町油木駅から山へ入った場所に住む農業を営む男性が、夕方、自宅前の田んぼに水を入れるため水門を開けにいったところ、20メートル先のあぜ道を人らしき影が歩いているのを見かけた。親せきのおばさんがいつものように散歩していると思い、近づいて「気をつけんと、危ないよ」と声をかけたが返事がないので顔を覗き込むとゴリラそっくりの怪物だった。
その姿を見て恐怖を感じた男性は夢中で逃げ出し、自宅へ戻り自動車に乗って、すぐそばの親戚の家に逃げ込んだ。親戚は大阪万博へ行っていて留守だったが、夜はその家に泊めてもらったという。
目撃者の娘さんによれば、父親は「とにかく見たもんでないとわからないだろう」と話していたという。
さらに、複数の大学の探検部がヒバゴン捜索をおこない、出現現場に残された足跡の発見や採取などにつながった。1974年8月15日には柿の木にしがみついた体長1・5メートルくらいのヒバゴンの写真が撮影され、いよいよその正体が明らかになるのかと思われたが、捕獲には至らず、同年秋にはヒバゴン目撃も途絶えてしまう。1975年3月に役場はヒバゴン騒動の終息宣言を発し、類人猿対策係も役目を終えた。
あれから50年。現在ヒバゴンは庄原市のマスコットキャラクターとして、着ぐるみやグッズが作られ、地域で親しまれている。
人里に現れては逃げ去る、大きな黒い猿。昨年の獣人はまさに「令和のヒバゴン」に違いない。なにしろ、冒頭で紹介したA氏の目撃だけでなく、その後、別ルートから新たに2件の目撃情報が寄せられているのだ。
第2の目撃情報は匿名で提供され、直接の取材はかなわなかったが、「昨年8月ごろ、普通の猿とは明らかに違う、大きな黒い猿を見た」という証言だった。
第3の目撃は、2024年9月、農業を営む男性B氏によるものである。作業場から外に出たところ、近所の家から墓地へ続く坂道を黒い影が登っていくのを目撃した。最初は近くに住むおばあさんかと思い声をかけたが、影は逃げていった。逃げていく姿を見ると、それは大きな猿だったという。猿はそのまま坂を登り山の中へ姿を消していた。
また、別のとき、B氏はニホンザルの群れの奥に黒い大猿の姿を見つけ、動画に撮ったこともあった。その姿はニホンザルと比べても大きく全身の色も黒いものであった。もはや見間違いや勘違いなどではない。西城町に「黒い大きな猿」、そんな怪物が現れているのだ。
ヒバゴンの再来について町の住人に話を聞いていくうちに、意外にも、知られていない過去の目撃情報も得られた。
西城町で農業をしている男性が語ったところによると、なんと約20年前にヒバゴンと共通点のある怪物を見かけたというのだ。証言をまとめると以下である。
「帰宅途中に道端の壁に手をついて立っている人物を見かけた。知り合いのおじさんかと思って近づいたところ、体長150センチほどの、手足の長い黒い猿だった。黒い猿は、こっちに気づくと山へ逃げていった。また、昨年末の夜には、たき火の火に照らされているところを再び目撃した……」
いずれも最初は人間かと思ったが、近づくとその姿は全身黒く、手足の異様に長い巨大な猿だったという。体長は約1.5メートルと、ニホンザルではあり得ないサイズで、特に手足が長い。ニホンザルや熊とは明らかに異なる特徴であり、なにより山間の西城町で暮らす住人が普通のサルと見間違えることはないだろう。「令和のヒバゴン」を取材していたところに「平成のヒバゴン」情報も出てくるとは……!
1970年代のヒバゴン騒動時に「類人猿相談係」として対応にあたった恵木剋行さんは、「またヒバゴンが出てきてくれたことは嬉しい」と、嬉しそうに語ってくれた。町の人にとっては、山に潜む隣人のような親しみのある存在なのかもしれない。
西城町観光協会の岡崎優子さんは、次のように語る。
「ヒバゴンの目撃から55年という節目の年に、こうした不思議な情報が次々に寄せられています。証言者の皆さんがわざわざ嘘をつく必要はなく、その誠実さからしても、ただのサルとは思えません。これは”令和のヒバゴン”かもしれない、と胸が高鳴っています」
岡崎さんは現在、土地所有者の許可を得て、目撃現場にカメラを設置し、撮影を試みているという。
1970年代のヒバゴンと今回の令和のヒバゴンには共通点が多い。
まず、目撃者の多くが最初に見かけたときに人間と見間違うのだ。その身体の大きさはニホンザルとは明らかに違うからであり、二本足で立っているからだろう。さらに、その全身は黒色の毛で覆われている。令和のヒバゴン騒動の目撃者A氏は「うちの瓦くらい真っ黒だった」と自宅の漆黒の屋根を指さして答えた。
あと、人に危害を加えない。ヒバゴンは人に見つかると、必ず逃げていくのである、これは非常に憶病で警戒心の強い生物だろうと考えられる。
しかし、令和のヒバゴンは目撃者が共通して「足が長くて細い」と報告がある。これは70年代のヒバゴンでは報告がない特徴であり、また50年も時を経ていることから、同一個体ではないことがうかがえる。
自然豊かな比婆山には未知の生態系があるのかもしれない。もしや、比婆山のニホンザルのなかに代々受け継がれている「ヒバゴン遺伝子」のようなものがあるのだろうか。それが発動したとき、この地にヒバゴンが姿を現すのかもしれない。
今後、トレイルカメラの設置や研究家の現地調査で、”令和のヒバゴン騒動”がどのように展開していくのか目が離せない。
(月刊ムー 2025年7月号掲載)
おかゆう
オカルトライター。現地取材が好き。一般社団法人 超常現象情報研究センター、つちのこ学会所属。
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