何かがいる深夜のAMAZ●Nの倉庫で恐怖の配送業務『ORDER13』(猫もいる)/ムー通

文=藤川Q

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    忙殺と恐怖の配送業務

     AMAZONなどの通販サービスを利用したことのない人はいないのではないでしょう。そんな巨大配送センターの裏方となって配送業に従事する……といったゲームはいくつかあるものの、そこに純然たるホラー体験を真っ向から問うてくる作品は、意外とめずらしい。

    『ORDER13』は、身近な配送サービスに携わるスタッフの視点で、配送センター内での業務中に遭遇する恐怖を体験できる稀有なホラーゲーム。
     かのモダンホラーの帝王スティーブン・キングは、ホラー作品のテーマには"職業"が重要であり、なぜかはわからないが、読者は職業に強い関心を示すと語っているけれど、本作はまさに配送サービススタッフという知っているようで知らない職業の専門フィールドでしか垣間見ることのできない"恐怖譚"を堪能できる。ホラーフリークな方にこそプレイしていただきたい逸品でした(もちろん、配送業務はけっこうたいへんです)。

     シフトはヘビーな深夜。あなたの仕事は、倉庫の端にある事務所でPC端末から出力した注文伝票をプリントして、伝票に記載された倉庫の棚(WH-G02-05などのコードが書いてある)へ行き、これまた伝票に記載された棚の扉の解除コードを入力して商品をピックアップ。商品を事務所に持ち帰ってきたら、段ボールに入れて(緩衝材を3回入れて十分な衝撃対策をするのを忘れずに!)テープで梱包。最後に送り状を出力して貼付したら、配送コンベアに乗せて出荷! ……と書いているだけでも手順の細かい作業をノルマ達成まで繰り返すこと。
     孤独で厳しいシフト中ですが、なんと事務所では愛猫といっしょに暮らしており、せっせと業務に従事するあなたをいろいろなところからかわいい視線を送ってくれます。なでてあげると"猫ゲージ"が+に。失礼、本作は事務所から外に出て猫に寂しい想いをさせると猫ゲージが時間経過とともに減少。0になるとゲームオーバーです。猫を寂しがらせるとはなんたること。

     猫は知っているのです。あなたが伝票と懐中電灯をもって往復する先の倉庫エリアには……何かわからないものの、"よくないもの"がいることを。
     真っ暗ななか、目的の棚を捜してひたひたと歩くうち、擦るような音や、見間違えなのか、人体の部位のようなものが積まれた段ボールの合間に覗いている。深夜シフトの疲れからくる、幻覚なのだろうか? それとも……。どちらにせよ、無事に事務所に帰りつかねばなりません。なぜなら、猫はあなたが戻るのを待っているのですから。

    (本作のムー民度  ★☆☆☆☆)

    © 2025 Oro Interactive. All rights reserved

    Steam 配信中 999円

    (月刊ムー 2025年4月号)

    藤川Q

    ファミ通の怪人編集者。妖怪・オカルト担当という謎のポジションで、ムーにも協力。

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