ナマのオカルトで世界を批評せよ! 「復刊地球ロマン」による”平地人”へのメッセージ/ムー前夜譚(3)
70年代の大衆的オカルトブーム最後の花火として1979年に打ち上げられた「ムー」。ではそもそも70年代に日本でオカルトがブームとなった背景は? 近代合理主義への対抗が精神世界という言葉以前の現実問題だ
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
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可能な限り客観的かつ科学的に、UFOもしくはUAPの真実を追求する証言集
UFOに関しては、時おり、画期的な研究書が出現する。2001年に原書が出版された『ディスクロージャー』しかり、そして本書しかり。実際問題として「未確認の空中物体が存在し、アメリカ空軍や世界中の他の政府機関によって公式に記録され、それらがUFOとして定義されていること」は厳然たる事実である。
本書は、あくまでも不可知論の立場から、可能な限り客観的かつ科学的に、UFOもしくは「未確認空中現象(UAP)」の真実を追求する、迫真の証言集である。
登場する証言者は軍のパイロットをはじめ、航空管制官、大学教授、NASAの研究員、基地司令官、国防省職員など、いずれも信頼に足る錚々たる人物ばかり。
中にはクリントン政権の首席補佐官であったジョン・ポデスタや、アリゾナ州知事のファイフ・サイミントン3世まで含まれている。そのような人々が、実際にUFOを目撃したり、甚だしい場合にはUFOと近接戦闘したとまで、実名で証言しているのだ。となれば、UFOの正体が何であれ、そうした現象が確かに存在すること自体は、もはや否定しようのない事実であろう。
著者のレスリー・キーンは、フリーランスの調査ジャーナリスト。2001年、情報公開法に基づいてUFO関連文書を入手するため、「情報の自由のための連合」を発足させ、詳細は不明だが、同法の下で連邦裁判所の差し止め請求を勝ち取っている。長年にわたり、アメリカ政府にUFOに関する情報を公的に調査する機関の設立を、働きかけてきたという。
昨年6月、アメリカ国防総省は「未確認空中現象に関する予備報告書」を公表。この現象について「確固たる結論を導き出すことは困難」としながらも、事実上、アメリカ政府が「これらの現象は国家安全保障上の脅威である」と、公式に認めたのである。
この画期的なアメリカ政府の変化に決定的な影響を与えたのが、他ならぬ本書であったというのだ。もしそうであれば、本書はまさに、文字通り歴史を変え、世界一の超大国アメリカを動かした、記念碑的な労作ということになる。UFOに関して一家言を持つ人にとっては、必携の基礎資料といえるだろう。
「日月神示」から抜粋された、衝撃の未来予言
「はじめての日月神示」といえば、記憶のよい読者ならピンとこられるかもしれないが、4年ほど前に、本欄でご紹介したことがある。標題どおり、初心者を対象に、『日月神示』の基本を、わかりやすく紹介する好著であった。
あれから4年、その間に世界は新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻、相次ぐ天変地異に気候変動など、当時とはすっかり様相を一変させてしまった。ますます『日月神示』に予言された「立て直し」の時期が迫っているのではないか。となれば今ここで再び、『日月神示』のメッセージに立ち返る必要もあろう。
そこで本書『はじめての日月神示・未来予言編』である。前書の続編として、真に時宜を得た企画といえよう。本書では『日月神示』から抜粋された100の項目について、多岐にわたる、衝撃の未来予言が語られてゆく。
さて、『日月神示』といえばあの独特の口調に味があり、評者は密かに気に入っていたのであるが、本書では前著同様、それが著者の手ですっきりとわかりやすく、現代口語訳されている。味はなくなったが、特に若い読者にとっては、ありがたい配慮だろう。
著者の中矢伸一氏は、『日月神示』界にその人ありと知られるこの道の第一人者で、30年前から一貫して『日月神示』に取り組んできた。これまでに著書は80冊、累計200万部というから、素直にうらやましい。
「地形と地理」で浮かび上がる、京都の真の姿
京都といえば盆地である。夏は暑く冬は寒いという不快な土地で、なぜわざわざ、こんな地形の場所に都を建造したのか。評者にとって長年の謎であったのだが、本書を一読、疑問は氷解した。何と、「琵琶湖を水上交通路として用いた場合、日本海側と太平洋側を結ぶ最短のルート」の「中間地点に在るのが、まさに京都盆地」だというのだ。文字通り目から鱗である。
このように、「地形と地理」というファクターを導入することで、思いもよらなかった、京都の真の姿が浮かび上がってくるのだ。たとえば京都を代表する金閣寺は、なぜ平安京の外に建てられたのか。なぜ織田信長は本能寺に泊ったのか。なぜ徳川家康は京都に政権を置かなかったのか……。このような歴史上の謎50項目が、理路整然と解き明かされる。
そして本書によれば、京都人が「いけず」であるという歴然たる事実にすら、「地形と地理」の要因が関係しているというのである!
古川順弘、青木康両氏による著書としては先般、本欄でも『地形と地理でわかる神社仏閣の謎』をご紹介した。本書はさしずめ、同じ著者コンビによる「地形と地理」シリーズ第2弾といえようか。何と半年もかかっていないというハイペースな出版である。
それはともかく、本書はフルカラーの図版に、巻末お散歩マップも充実。京都散策のための最良のガイドでもある。
日本民族は、全人類の祖であるという!
本書で語られるのは、あなたのまだ知らないもうひとつの日本。それは何なのか。本書はまず、日本民族は古代ムー大陸の民の末裔であり、全人類の祖であるという、驚愕の暴露から始まる。ゆえに本来、世界の覇権を握っているのは日本であるはずなのだが、現実にはそうなっていない。いったいそれはなぜなのか、そしてわれわれは、真の日本を取り戻すために何をどうすべきなのか。
かくして、本書は、だれも知らない――だがもしかしたら本誌の読者ならよくご存じかもしれない――裏歴史や陰謀論を、膨大な小ネタを交えながら語り尽くしてゆく。その情報量は、おそらく本誌総力特集の5回分くらいの、大ボリュームである。
著者のウマヅラビデオは、都市伝説を探究する3人組YouTuberとしてお馴染み。本欄でも、過去に彼らの『シン・人類史』をご紹介した。本書は、同書の歴史観を受け継ぐ、続編的な位置づけである。
行間が広く採られており、改行も多く、非常にテンポがよい。ネットやSNSに慣れた今どきの若い読者にも、読みやすいスタイルといえる。しかも、各ページの下段には詳しい註が挿入されており、マニアックな知識もしっかりフォロー。普段あまり読書をしないという人でも、安心して手に取ることができるだろう。
ともあれ、本欄の読者はとりあえず、スマホアプリのLINEはアンインストールされることを、強くおすすめしたい。
山を通して、日本人の存在の根源に迫る
著者・秋山眞人氏は、今さら改めてご紹介するまでもない、日本を代表する超能力者である。そんな彼が今回俎上に上げるのは、日本人と山の関係性。いつもの秋山氏の文体とはひと味違う砕けた口語体で、山にまつわる四方山話が語られる。
だが、何しろ著者は、あのソニーの超能力研究所と共同研究をしたり、旧ソ連の秘密研究所で「死んだ人間の脳細胞を念力で蘇生」させたり、はたまたあのダライ・ラマとも親交を結ぶ超人。さらには、超能力のみならず古代文明、UFO、占術など、オカルト百般に身を以て精通されている秋山氏である。単に四方山話といっても、他の凡百のそれとは、情報の抽斗の次元が違う。
そもそも山とは何かという問いかけに始まり、山とのつき合い方、日本独自の「空間信仰」とは何か、富士山のもつパワーの秘密、山に住むさまざまな霊的存在、海外のレイラインや風水と日本の山、そして日本各地の霊山案内と、盛りだくさんの内容である。
楽しく読み進めていくうちに、いつしか話は日本人の存在の根源に迫り、その本質と特殊性が浮彫にされるという、巧みな構成には思わずうならされる。
しかし心配になったのは、東京で唯一挙げられている霊山である高尾山が「ちょっと最近荒れて」いて、「元気ないなと思っています」という、氏の指摘である。どうにかできないものだろうか。
本物の「呪いの手紙」の凄惨な現物写真が掲載
以前、本書の監修者のひとりが関わっていた、強烈な呪物の写真集『本当にあった「呪物」の怖い話』を本欄でもご紹介した。ただ持っているだけでも呪われてしまいそうな酷い本(褒め言葉)であったが、本書はちょうど、あれの「文字版」といった趣の一冊である。
何しろ本物の「呪いの手紙」の現物写真が、これでもかと執拗に掲載されており、そこに漂う執念というか怨念というか妖気というか、とにかく凄惨。そうしたものに敏感な人や心身の弱っている人は、くれぐれも取扱注意の劇物だ。
冒頭に登場する本物の「呪術者」から、遺品整理員にキャバ嬢、あるいは普通の一般人まで、実際に「呪い」を体験した人々が語る呪いの無気味さ、恐ろしさは、想像をはるかに絶しており、かつリアルである。
「手紙」ばかりではない。呪いの込められた絵馬、いかにも時代を感じさせるメールやLINE、ブログ、あるいはトイレの落書きなどに込められた呪いもまた、紹介される。
監修に当たる都市ボーイズは、陰謀論や都市伝説、裏社会、心霊などに詳しい、ふたり組の放送作家ユニット。同名のYouTubeチャンネルも運営している。
そんな彼らによれば、「文字」は「呪法の中でも」「とりわけ効果が高い」もの。本書では、読者は否応なく、それを直接目にすることになるのだ。閲覧は、くれぐれも自己責任で。
「こわい」切手の理由を、詳細に解説
さて、手紙とくれば当然、次は切手というわけで、「こわい切手」である。イキナリ表紙には70年代を想起させる、顔面が半分白骨化した無気味なイラストが描かれている。切手にしては悪趣味すぎるようだが、実はこれ、れっきとした本物の切手。オーストリアが発行した麻薬撲滅キャンペーンの記念切手なのだ。
本書は、正式に発行された本物の切手でありながら、その図案やその背後の事情が「こわい」ものを精選して収集し、詳細な解説を付した異色の書。
なぜか得体のしれないものが写り込んでいる「心霊切手」にはじまり、ヴードゥーの呪術を描いたもの、鬼や怪物や吸血鬼の図案、あるいは悲惨な事故現場などなど。いったいなぜ、こんなものを切手にしたのだと最初は思ってしまうようなものが目白押しであるが、当然、どれもちゃんとした理由があるのだ。
切手はまた、プロパガンダの手段ともなる。国同士の対立や戦争の際には、自国を讃え、敵国を貶めるような図案が採用される。敵を悪魔化した上で、自国の無垢の子供たちが無惨に殺害される、悲惨な図案の描かれた切手など、いろいろ考えさせられるものがある。
著者の内藤陽介氏は、切手などの郵便資料から国家や地域のありようを読み解く「郵便学」の提唱者。その研究成果である本書は、郵趣ファン、怪奇ファン、歴史ファンにとっては、まさに垂涎の一冊といえよう。
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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