人類が会える宇宙人は“本物”が送り込んだアバターであるーー有名大学教授の最新理論と幼少期のトラウマ
米スタンフォード大学の免疫学教授がエイリアンの姿について言及している。もしもエイリアンが存在するのであれば、我々が目にするエイリアンはアバターとしての生物学的ロボットであるというのだ――。
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宿主から宿主へと移りすむ寄生虫。それは単に栄養を吸い取るだけでなく、ときに人間の行動にまで影響を与えるという。そして生まれたいくつもの都市伝説――。はたしてそれらは真実なのだろうか?
花粉症で悩んでいる人は非常に多い。環境省によれば、2019年には人口の38.8パーセント、ほぼ3人にひとりがスギ花粉症と推定されるという。スギ花粉症以外のイネ科やブタクサ花粉症も増加しており、2019年には25.1パーセントになっている。
こうなると国民病だ。
日本における杉の森林面積はそれほど大きく変わっていない。1970年代からほぼ横ばいが続いてる。にもかかわらず、スギ花粉症は激増している。つまり原因は杉ではなく、人間側にあるわけだ。
ストレスや食生活の洋風化など、理由はいろいろ挙げられているが、いずれも決定打にはなっていない。
そうしたなか、1990年代になると花粉症の原因は、環境が清潔になってお腹から回虫がいなくなったためだという説が広がった。いいだしたのは、国立公衆衛生院微生物学部長(当時)の井上栄氏や東京医科歯科大学名誉教授の故・藤田紘一郎氏らだ。
メカニズムはこうだ。異物が体内に入るとそれを排除しようと抗原抗体反応が働く。回虫や蟯(ぎょう)虫などの寄生虫は異物であり、抗原だ。抗原を追いだすために、体のなかでは抗体がつくられる。それが免疫グロブリンE抗体というたんぱく質で、肥満細胞に働きかけ、細胞内に蓄えられているヒスタミンなどの化学物質を放出させる。
化学物質は寄生虫を体外に排出するように平滑筋を収縮させ、血管が拡張したり炎症を起こしたりする。
花粉症も仕組みは同じだ。
花粉が抗原となり、鼻粘膜の肥満細胞からヒスタミンなどが放出される。ヒスタミンによって粘膜が炎症を起こし、鼻水やくしゃみ、涙などで体外に花粉を押しだそうとする。
1970年代から日本人の寄生虫感染率は劇的に低下したが、一方で免疫グロブリンEによる免疫機構はそのまま生きている。そこにスギ花粉などが入ったために花粉症が起きたという。
寄生虫が体内にいると、寄生虫を抗原とした免疫グロブリンE抗体が鼻粘膜の肥満細胞に結合する。そのため、花粉が鼻粘膜の細胞と結合できず、花粉症にならないらしい。
倉持館長に花粉症のことを訊ねると、
「あまりに問い合わせが多いものですから、これは免疫の先生に聞いてきました」
とのことだった。
寄生虫学は寄生虫の生態を明らかにし、寄生虫を効果的に駆除する方法や薬品を見つけだすことが本道である。寄生虫が変異して、これまでの薬が効かなくなったときにどうするか(実際、今はマラリアが変異して薬が効かないのだそうだ)や創薬などを研究する。
人間に寄生虫が寄生して花粉症になるのなら寄生虫学の出番だが、寄生虫に寄生されると病気の予防や治療ができるという
話は筋が違うのだ。
「寄生虫が寄生しているときとアレルギー反応の免疫応答は、似ていることは似ているんだそうです。1990年代の終わりに権威のある雑誌が取りあげて、世界中に広まりました」
寄生虫が体内に侵入するとアレルギー反応は起きる。先に抗原抗体反応が起きているから花粉症にならないというのが、前述の寄生虫〜花粉症抑制説だ。
しかし逆にひどくなるんじゃないかという説もある。花粉のようなアレルギー反応を起こす抗原には、エピトープと呼ばれる、抗体が認識する部位がある。寄生虫がいることによって、エピトープが増える。エピトープが増えることで、反応がひどくなる。寄生虫でアレルギー反応がひどくなるという。
このふたつのどちらが正しいのか、マウスによる実験が行われた。
「どちらも証明できたんですね」
寄生虫に感染してアレルギーがなくなる、反対にアレルギーがひどくなる、どちらの仮説も証明できたのだという。
「寄生虫に感染するとアレルギーがよくなる人もいれば、もっとひどくなる人もいるだろうということです」
どちらになるかはその人や状況次第であり、どっちに転がるかわからない。わからないのだから、ようするに関係がない。むしろ問題は、回虫に感染すべきという話が広がることだと倉持館長はいう。
「不潔を奨励するのはやめてもらいたいですね。水が綺麗だからよくない、みたいないい方はよくありません。こちらは公衆衛生を一生懸命やっているのに、ああいうことは困る」
ズバリ、「寄生虫でアレルギーが防げる」という話は、あまりに一面的だった。
※ 月刊『ムー』2023年5月号より
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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